アレクサンダーテクニックとは?

アレクサンダーテクニックは、オーストラリア出身のシェイクスピア俳優、フレデリック=マティアス=アレクサンダー(1869年1月20日 – 1955年10月10日) によって、発見されました。彼はイギリスロンドンへと渡り、そこで、このテクニックを教える傍ら、私たちの本来持っている整備されたバランスの取れた状態では、私たちの能力が最大限に発揮され、大きく成長していけること、そしてそのバランスの働いている状態を遮る、習慣的で気づかない間に繰り返し行っているような行動、またそれを起こさせる思考の癖に働きかけ、自らをより良い方向へと再教育する方法を構築しました。

アレクサンダーテクニックは、「私たちが今、どのような状態であるか」ということに気付くことができるよう導いてくれます。これは、体を生業としている職業、音楽家、俳優、ダンサー、アスリートといった、より良いパフォーマンスを求める人たちには必要不可欠であると同時に、主婦や会社勤め、肉体労働に従事している方たちにも、私たち本来の持っている、バランスの取れた調和した心と体の状態を見つけ出すことを助けてくれるので、体の軽さや心の明るさなどを取り戻してくれます。

体が緊張したままで何年も過ごしていると、それがいつの間にか、当たり前の状態となり、自分が緊張し、体に力が入っていることに気づかないようになります。そして、「脱力して」「リラックスして」と、言われても、それがいったいどのような状態であるのか、わからないままこのような言葉を使っている人たちを数多く見受けます。また、体が緊張している、こわばっている、力が入っているということに気づいていたとしても、どのように解放していけばよいのか、わからないという方も多くいらっしゃいます。

それでは、私たちはいったいどのようにして、私たちの中に深く根づいている、精神的で肉体的な不要な緊張を解放することができるのでしょうか?そして、なぜ、その緊張は起こるのでしょうか?

そして、どのようにして、持って生まれた理想的なバランスの中で、自分の能力を最大限に発揮させることで自らを成長させ、日々を生きていくことができるのでしょうか?

アレクサンダーテクニックはまず、不必要な緊張を自分に起こさせている、身体的な癖を取り除くことから始めます。私たちは何か行動を起こすその瞬間、一瞬ですが、背骨を縮めて(または首の付け根を縮めて)、行動を起こす習慣を持っていることがほとんどです。生まれたばかりの赤ちゃんやヨチヨチ歩きの子供にはまだ見られない傾向ですが、3歳4歳ぐらいになってくると、現れてきます。これはほぼ無意識に親や周りの環境から学んでいることで、知らない間に身についてしまうので、子どものころから、親御さんがよく見守ってあげること、彼らを必要以上にせかしたり、ストレスを与えることなく、のびのびと彼らのペースで事に当たらせてやることなどが大切になってきます。子供たちは、親を見て、どのように物事に反応するか、そして対処するのかということを見て学んでいきますので、たとえば、親御さんがいつも猫背で暮らしていれば、それを真似して、子どもたちも猫背になってくることもあるでしょう。いつも、何かに追われ、あたふたとしていたら、自分のスペースを保てない大人になってしまうこともあるでしょう。いずれにしても、物事に取り組むその瞬間、たとえば、包丁で野菜を切るとき、洗面所で顔を洗う時、会議で何かを発言をするとき、その時、自分は自分に何をしているか、観察してみてください。

さて、アレクサンダーテクニックのレッスンでは、不必要な体の緊張を取り除きながら、それを起こさせている思考の癖に働きかけていきます。アレクサンダー自身は、精神と体を切り離して考えることをたいそう嫌い、心と体は一つという意味で、Self(自身)という言葉を好んで使いました。よく、肩が凝っている、首が緊張しているなど、あたかも、体が勝手に緊張しているというような言い方をしますが、緊張させているのは、私たち自身です。私たちの考え(思考、思考の癖)が体を緊張させているのです。ですので、バランスの取れた状態というのは、私たちの心と体が調和しあい相互に助け合って働くときということでもあります。

アレクサンダーテクニックでは、私たちの背骨に沿って中心を流れているDirection(impulse、方向性)を見ていきます。これは、たいがいの場合、多くの人が子どもの頃に見失い、見つけられずに大人になっていきますが、これはもともと、生きとし生けるすべてのものに備わっている普遍的な方向性であり、力ですので、レッスンを重ねるごとに、息を吹き返し、自分のものとなっていきます。

私たちの体の構造は、地球上でうまく生きていけるように、下向きに働く力である重力を吸収し、それを上向きへと変換できるようにデザインされています。この上向きの力へと変換できている時には、努力しているという感覚もなく、まっすぐに体を保つことができ、軽く感じられます。しかし、体が重く感じられるということは、本来、使うことのできる能力を眠ったままにさせているということであり、非効率的に自分自身を使っているということになります。

アレクサンダーテクニックを通して私たちは、心と体は一つであり、相互に影響しあって動いていること、自身のより良い状態を遮っている思考の癖に気づき、どのようにそれをいったん保留し、新しいより良い方向を日々の行動の中に取り入れていくかということを学びます。

アレクサンダーテクニックを学ぶことによって、生活の質の向上ばかりか、それに伴って活力や自信があふれだし、豊かに成長しながら生活していくことができるようになります。